天ぷら「かめや」の豚汁

わたしの好物

わたしは豚汁が好きで、丼ぶりや定食のチェーン店に行くときには、よく味噌汁を豚汁に変更している。具だくさんなのが嬉しくて、ヘルシーな食べる汁という感覚。汁の味には大きな差はない気がしている。

一方、昔ながらの大衆食堂や酒場で作られる豚汁は、馴染みがある豚汁とは違うことが多く、それが良いとか悪いとかではなくて、店の個性が出る一品なんだなあと思ってきた。

白だしで作られた肉吸いに近い雰囲気の豚汁や、具材は豚ともやしのみという中華スープのような豚汁にも出会った。びっくりするほどアッツアツに仕上げられ、「れんげを使って、やけどしないように食べてくださいね」と言われたこともあったなあ。

昔から、味噌汁とは違う汁物として、お客さんの胃袋を満たしてきた存在なのだろう。

前置きが長くなったが、こないだ初めて食べてとても気に入ったのが、新世界の天ぷら屋「かめや」さんの豚汁。天ぷらとともにビールを飲もうということでお邪魔したので、汁物をいただこうとは思っていなかったのだが、店内で「名物 豚汁」と書かれた張り紙を見つけてしまっては、豚汁好きはスルーができない。

「かめや」さんは昭和23年から営業する天ぷら屋さんだ。75年以上も愛される天ぷらを食べながら、豚汁への興味がじわじわと増していったのだった。

豚汁はこれこれ。

厚みのある豚肉のかたまりが3枚、ずしっとのっている。豚肉が主役であることが、誰が見てもわかる。3枚の豚を装飾するように、ネギと豆腐は汁の中にいらっしゃった。豆腐がベッドのような役割をしているから、豚肉が沈まないのだろう。スターと名脇役といったところだろうか。この豚汁を見たときに、シンクロナイトスイミングのような芸術性を感じたのだった。というと言い過ぎかもしれない。

食べごたえもしっかりあって、すごく良かった。肉肉しい豚汁だった。ずっと昔からあるメニューだと聞いて、パンチがあっていいなあと思ったのだった。これは、なかなか忘れることができないと思う。

天ぷらももちろんおいしいのだけど、豚汁の記憶が濃すぎたようだ。すっかりファンになった。また食べにいこう。

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